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……は? どこでどうなって私と流の婚約が白紙にされるのか意味が分からない。第一に流は自分がクビになる事が決定したように話しているが、成績優柔な営業職員をわざわざ解雇する会社があるのだろうか?
流の言う【階級別社員雇用システム】というのがどういったものかは分からないが、それでも納得いく答えにはなっていない。なのに、流は……
「だって仕方ないだろ? 会社をクビになったら鈴凪との結婚どころの話じゃない」
「それなら再就職先を探して、それからでも……」
仕事と私どっちが大事なの? なんて天秤にかけたことはないけれど、今の流の言い方では私より仕事の方が大事だと言われた気がしてちょっと悲しくなる。
だけど流はそんな私の気持ちにお構いなしで、一方的な言葉でこの関係を終わらせようとする。二人の婚約については、お互いの両親にも挨拶して許しを得ていたのに。
「そんな先のことなんて話されても重荷なんだ! 俺が会社をクビになるかの瀬戸際なのに、自分の事ばかりで。少しは俺の立場も考えてくれ!」
「そんな、流⁉ ちょっと待ってよ、流‼」
結局彼はその御曹司とやらが考えた【階級別社員雇用システム】についても碌な説明をせずに、そのまま私の部屋から出て行ったのだった。
つまり、私は流の仕事に……【階級別社員雇用システム】という謎の計画によって、あっさりと婚約話を無しにされてしまったらしい。
と、この時の私は彼氏だった流の話をこれっぽっちも疑ってもいなかったのだけど。
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