その契約は強制で

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「いいか、俺たちの結婚式は絶対だ。それが出来ないというのなら、最初に話した通り迷惑料を請求させてもらう。さあ、どちらを選ぶ?」 「……ここから第三の選択肢が出てきたり、なんてことはやっぱりないですよね?」  無駄な抵抗だという事は分かっていても言わずにはいられない。そもそもどちらを選ぶかなんて絶対に口だけで、実際には私に選択肢なんてないのと同じようなものだから。  結婚式が絶対なのなら、もう一つ気になる点が出てくる。まさかとは思うが、それでも念のために確認しないわけにはいかない。 「第三の選択肢ねえ? どうしても欲しければ考えてやるが、鈴凪(すずな)が喜ぶ内容である保証はないな」 「ですよね、そうだろうなとは思ってたのでもういいです。それより、その結婚式と同時に入籍をするつもりだなんてことはないですよね?」  そう、結婚式も私にとっては大事だけどそれ以上に入籍するかしないかが気になって。もちろん契約と言われても好きでもない神楽(かぐら) 朝陽(あさひ)と籍を入れるつもりなんてない。いくら迷惑かけたとはいえそれとこれとは別問題だからと、彼を睨んでいると呆れたような溜息をつかれて…… 「どうして俺が鈴凪と結婚をしなきゃならないんだ、そんなの冗談じゃない」 「……私に()()()を強制しようとしている人の言葉とはとても思えませんね?」  冗談じゃない、はこっちの台詞なんですけど? 私だって神楽 朝陽と結婚したいなんてこれぽっちも思ってないですし。  自分中心な俺様発言の連続に、さすがに頭がズキズキしてくる気がした。  
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