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「自分勝手で自信過剰、その上眼鏡を外すとドSになる神楽グループの御曹司?」
「そう思っていたとしても、そこまでハッキリと口にした奴は鈴凪が初めてだ。その度胸は認めるが、もちろんタダで済むとは思ってないよな?」
しまった! と気付いた時にはもう遅かった。私が彼に対して不満に思っていた部分まで、ついペラペラと言葉にしてしまっていたらしい。
神楽 朝陽はパッと見は微笑んでいるが、醸し出すオーラは怒りそのもので。この人は大企業の御曹司よりもどこかの組の若頭とかの方が似合うんじゃなかろうかとまで考えてしまう。
「タダで済むと思ってるかって、もう私はちゃんと朝陽さんの恋人役を演じてるじゃないですか! これ以上、私にどうしろというんです?」
「……そうだな、追加で条件を付けても面白そうだ。鈴凪はどんなのが良い?」
その問いかけに私は首を横にブンブンと振る、そんな事を聞かれても答えれるわけがない。どうせこの人が追加する条件なんて碌なものではないはずだから。
ただでさえ、難易度の高い演技を求められているのだ。それ以上の事を簡単に増やしたりしないで欲しい。
「そんな無茶を言う前に、朝陽さんだって少しは協力してくれたっていいんじゃないですか? これっぽっちも朝陽さんに愛されてないのに、世界一の愛され花嫁って無理がありますし」
「……へえ? じゃあ鈴凪が俺に望む協力ってどういうのかを聞かせてもらおうかな?」
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