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えええ? 予想もしなかった切り返しに、私はまた返事に困ってしまう。まさか神楽 朝陽がそんな事を聞いてくるとは思わなかったから。
私は話題が変えれればいいくらいの気持ちで発した言葉だったから、そんな詳しくなんて考えてはいない。それなのに彼はなぜか楽しそうに私の答えを待っているのだ。
待たせれば不機嫌になることは分かってる、それならば最初から無理難題でそれを誤魔化してしまえばいい。そう思って……
「そりゃあ愛され花嫁なんですから、朝陽さんに愛されるしかないんじゃないでしょうか? 何ていうのかな、幸せオーラ? みたいなのも、それなら出ると思うんですよね」
思い切り笑い飛ばしてくれるか、それとも呆れた顔で一蹴するのか。そのどちらでも構わないから、さっさとこの話題を終わらせてしまおう。そのつもりでいたのに。
「……幸せオーラ、か。確かに、今の鈴凪から感じるのは真逆の薄幸オーラみたいなものだからな」
「誰が薄幸の花嫁ですか!」
カチンときてそう反抗すると、神楽 朝陽は「ブハッ!」と吹き出してそのままベッドで笑い転げている。揶揄われてるのは分かってるのに、こうして過剰反応するから玩具にされると分かっているはずなのに。
なんだか負けた気がして、こちらも言い返してみせた。
「私が薄幸に見えるのなら、あと一ヶ月でそれを愛され花嫁に見せる必要があるってことです! それに朝陽さんが協力するべきなのは当然でしょう?」
「そうか? まあそれも面白そうだな。俺を楽しませてくれるのなら、協力してやってもいい」
……もともとは私が迷惑料の代わりに、貴方に協力してる形なんですけれどね。そう言ってしまいたかったが、それはとりあえず我慢した。
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