その契約は強制で

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「じゃあ、早速ですが朝陽(あさひ)さんはどんな協力をしてくれるんです? その内容もしっかり契約とやらに付け加えておいてもらいたいんで」 「そこまで信用されてないのか、俺は? まあ、そうだな。挙式までの残り一ヶ月間で、俺が鈴凪(すずな)に十分過ぎるほど愛されるということを実感させてやればいいんだろう」  朝陽さんは簡単そうに言うけれど、どう考えても愛される側の彼にそんなことが出来るのだろうかと疑いたくなる。私に話す時だって命令形で、誰かに尽くすとは程遠いところにいそうな彼が。  それでも自信満々でそんな事を言うから、このまま朝陽さんに任せるべきなのか悩んでしまう。 「それって本当に朝陽さんに出来ますか? 挙式まで時間もないし、失敗すれば後々朝陽さんが大変な事になるんですよ?」 「鈴凪はもう少し俺を信頼するべきだろ。新婦となるアンタが未来の夫である俺を信じていなければ、この先上手くいくはずのこともそうでなくなるだろうが」  そう言われても、お芝居だといったのは朝陽さんだし。急に新婦とか未来の夫とか言われてもピンとこないから無理がある。だけど、朝陽さんがどんな方法を考えているのかは少し興味があって。  元カレの(ながれ)とも、一緒にいて愛されていると実感することはそう多くなかった。そんな私にどんな手を使ってそんな風に思わせてくれるのか、想像すると少しドキドキもしてて。
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