命あるもの

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 「アイ、それはツンデリーという旧文明話法ですね!直に聞けて光栄です!」  相手も私と会うことに興奮しているようです。  ドッキングが完了し、空気を満たした船内に入ってきた人物が宇宙服のヘルメットを取ると、現れたのは意思の強そうな整った顔立ちの女性でした。  色白でブラウンの髪をしていますが、東洋人のようにも見えます。  人間一人を軌道上に打ち上げるのがやっとのレベルのテクノロジーで、女性飛行士が一人でやってきたのです。  「私はアリナ、アイさん、あなたとたくさん話がしたい、でも時間が無いの」  アリナと名乗った女性は、そう告げると旧式の録音装置を取り出しました。  「あなたが周回する軌道に交叉する小天体が確認されています、残念ながら私たちにはまだ、あなたの軌道を変える力はありません、あなたと接触し、安全に退避するタイムリミットは、6時間です」  「バッカじゃないの?何でそんな危険を冒して会いに来たのよ!」  どうして人間は、いつまでたっても愚かなのでしょう。  「核戦争から300年、あなたは宇宙にたった一人で…!」  どうして?アリナの目に涙が溢れています。
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