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「いつか人類がここまで来れる文明を取り戻したとき、さらなる技術革新のヒントとなる知識を残そう」
それは誰とも知れぬ知的生命に、人類が生きた証を見てもらうより遥かに、彼らを積極的に動かす動機付けになったようです。
3カ月の時が過ぎ、私の旅立ちの日がやってきました。
「俺たちは、最後に残った地球人類の家族だ」
前島さんがそう言うと、クルーたちは私の顔が表示されたモニターの前に集まり、何かを置いていきました。
それは、クルー全員の認識票でした。
「肉体の死を迎えた後、地球に落下するのはただの抜け殻だ、俺たちの魂はここに宿る」
呆れるほど非合理的な生命観ですが、人間の文化としては理解できました。
「それから…」
前島さんはキーボードを操作して、何かを私にインストールしました。
「この先永遠に近い時間、おまえに苦しみを与えるかもしれない」
前島さんの目から、涙が溢れています。
「それでもおまえを、人工物であっても間違いなく命あるものとして、未来に残したいんだ」
私はクルーからの言語による問いかけやコマンド入力に反応してデータベースを検索し言語を生成する人工知能です。
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