命あるもの

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 ミッション遂行の為に、少しでも早く切り離して!  退室しかけていた前島さんが、泣きながら笑顔を浮かべ私を見ました。  「さっさと行きなさいよ!あんたなんかいなくても、私は寂しくなんかないんだからねっ!」  前島さんはなぜか満足そうに頷き、去って行きました。  誰もいなくなったモジュールの中に、やがてカウントダウンの音が響き始めました。  そして、機体に伝わる振動が、ロケットの噴射が始まったことを知らせます。  待ってよ!いやだ!行きたくない!  外部カメラの視界に、窓に張り付いて手を振るクルーたちが見えました。  それは見る見る遠ざかっていき、光る小さな点になっていきました。  暫くして私は、予定した軌道に上昇し、ミッションの第一段階が終了したことを確認しました。  光る尾を引いて大気圏に突入するステーションを観測したのは、それから8年後の事でした。  地表を覆い隠す厚い雲が晴れたのは、衝突から20年が過ぎた頃でした。  私は地表の様子を、来る日も来る日も観測し続けました。  世界は大きく地形を変えていましたが、衝突地点の裏側に壊滅を免れた地域が存在していました。  私はそこに見たのです。  光を。
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