命あるもの

　波長の分析から、人工的と判断できる光！
　光を見つけた！
　僅かに、点在する光ですが、人類は生きていた！
　工業水準は壊滅的に低下してしまったでしょう。
　それでも彼らは、残された機器を使用する知識と、言語と、高度な社会性を有しているはずです。
　人類の再出発は、ゼロからではなかったのです！
　会いたい！早く人間に会いたい！
　毎日毎日、私の中の衝動に突き動かされ、光を観測し続けます。
　少しずつ光が増え、その領域が広がっていく！
　10年経ち20年経ち、光は地球上の広範囲に広がりました。
　30年経とうかという頃、爆発的に光が増加しました。
　彼らはまだ、宇宙に目を向ける余裕はないでしょう。
　それでも私は、地上に向けて呼びかけを続けました。
　最もアナログな通信設備を使って。
　応答があったのは、滅亡から1５０年が過ぎた頃でした。

　彼らは航空機を実用化し、いくつかの国家が地球上の開拓を進め覇権を争う、旧文明の第二次世界大戦頃の水準になっていました。
　私は複数の言語で会話できるＡＩだったので、無線通信で意思疎通が出来ました。