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#day1[ファイル3]
そう…。そう言ったのは紛れもなく望月斗真だったのだ。
「どうしてそう思ったんですか…?えと…探偵さん…?」
文佳さんは顔を上げ、斗真の事をじっと見ると、斗真は喋り始めた。
「…俺はプレベント所属で『クラストヒアリング』の『助手(アシスタント)』の望月斗真。どうして思ったかって…今はなんとなくとでも言っておこう。」
斗真は自己紹介を進め、話し終わったところで文佳さんに顔を向けた。
「えぇ。望月さんの言う通りです…。」
そして文佳さんは言葉を続けた。前々から紫音さんが小学校に上がったタイミングで"本当の娘ではない"ことを報告しようと思っていたこと。つい先日、その事実を報告し、泣かれたこと。その日の夜、紫音さんは自室で『私はまた独りぼっち』だと涙をながしながら言っていたこと。話し終えた後、文佳さんは私の方に向かって頭を下げてこう言ってくれた。
「どうか…娘を…紫音を…助けて下さい…!」
私が頭を上げて下さいと言うと、安心したように私に手を差し出してくれた。私も手をだし、ギュッと握った。
「絶対に…紫音さんを助け出します…!なのでこの事件、クラストヒアリングにお任せ下さい!」
そして文佳さんはもっと私の手を強く握って
「よろしくお願いします…!」
と、涙ながらにこの事件を私達に任せてくれた。
「まず、誘拐された時の紫音さんの様子をどなたか…知っている方いらっしゃいますか?」
私がそう言い、みんなの方を向くと使用人さんが手を上げてくれた。
「今日は…用事がなかったので、お嬢様とお庭でキャッチボールをしていました。そして…私が御手洗いから戻ると、お嬢様の高い悲鳴が聞こえてきたのです。私がお庭に駆けつけた時にはもう…。」
もうその時には紫音さんはいなかったと話す使用人さんは今にも泣きそうな位、体を揺らしていた。そうすると今度は家の中から声が聞こえてきた。
「旦那様!お嬢様を誘拐した犯人からです!」
と電話を持った晶人さん専属の執事さんが血相変えて飛び出してきた。
「ど、どうしましょう…探偵さん…!」
「っ…!」
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