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続けざま爆発現象の起こる火災現場で、消防士たちは立ち尽くしていた。
これ以上、自分たちに出来ることはない。この先は、アンドロイド・ファイアーファイターの任務だ。
「彼は優秀だ。きっと最後の一人を救出してくれる……」
「ああ。アイツほど、場数を踏んだ奴はいないからな……」
燃え盛るホテル、窓という窓からは業火とともに熱波が吹き出し、固唾をのむ消防士たちの顔にも熱が照り付く。熱い。これだけ距離を置いても、熱い。
そこへ、ためらいもせず飛び込んで行ったのは、アンドロイド・ファイターのギーズだ。
ギーズはAI搭載の救助ロボットだ。人の領域を超える危険な現場に立ち向かい、自分で判断し救助活動ができる有用な存在だ。彼がロボットだとしても、消防士たちは彼を仲間と認めている。そんなことは問題にならないほど、彼の判断は的確で、数々の人を救ってきた。
手遅れだったとしても、どんな状態だったとしても、彼は決してあきらめない。高度なAIで常に最善を選び取ることができるのだ。
たとえ、その身を焦がそうとも、いつだって毅然と炎の中から帰還する——。そんな彼の向かった先を、消防士たちは尊敬のまなざしで見守っていた。
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