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「隊長! ギーズです! ……ギーズが出てきました」
消防隊員の一人が指を差す。おかしい。出てきたのはギーズひとりだ。本来の彼ならば、亡骸だろうが、体の一部だろうが、必ず何かしらは救い出してくるはず。
そしていつもなら、一刻も早く炎から離れ、一刻も早く治療をはじめられるよう、走り出てくる。
それが、なんとも悠長にスタスタと歩いて来るではないか。
「ど、どうした。ギーズ。誰もいなかったのか?」
「いえ、生体反応はありましたが……」
「なんだって?! では、なぜ救助してこない?」
「それは……」
人工知能が言いよどんでいる。隊長以下、消防士たちはギーズの違和感に注目した。
「怖かったので……」
ギーズの答えに、皆、絶句した。
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