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②ソロ?冒険者
烈火を追放された俺たち──というか俺は、ギルドの受付に足を運び、パーティーを抜ける手続きを行った。
既にソルから脱退の手回しをされていたのか、手続きはかなりスムーズにいった。
「はい、これ新しいギルドカード。長い事ギルドマスターを務めているけど、進化したスキルが物騒だからって理由で追放されるのは、あんたが初めてよ」
【追放童貞喪失ですな。おめでとうございます、ご主人】
「お前はちょっと黙ってろ」
何処か嬉しそうな声をあげるアイコをどつきながら、俺はギルドマスターであるクロニアさんに向き直る。
彼女は、俺が異世界から転移してきた事を理解しており、この世界について、そしてこの国についてあれこれと教えてくれた恩人だ。
何でも、過去に俺と同じような境遇の冒険者がいたらしく、その時の名残で面倒を見てくれたらしい。誰かはわからないがその人に感謝だ。
「さて、烈火をクビになって、晴れてあんたはソロ冒険者になった訳だけど、これからどうするの? 別のパーティーに入るって言うなら、すぐにでも探せるけど」
クロニアさんはそう言って、パーティーメンバーを探している冒険者が記載されてあるリスト表を取り出した。
探してくれるのはありがたいけど……。
「いや、今はいいです。正直、烈火のみんながコイツを不気味がるのもわかるんですよ。進化したばかりってのもありますけど、所有者である俺ですら、よくわかってないんですから」
今日何度目かのため息をつきながら、アイコへと視線を落とした。
進化したスキル、AI鑑定。何故かそれが擬人化し、実体として現れたアイコには、不思議な点も多い。
とにかく今は、コイツの事をよく理解する必要がある。
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