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①追放
「──タクト。悪いがお前を烈火から追放する」
「なんだって……!?」
──数多くの冒険者たちで賑わう、冒険者ギルドに併設された酒場。
その中で大きく陣取った、ギルド屈指の有力パーティーである「烈火」。
俺──タクト・アイジマは、15歳の時に異世界転移を果たし、それから3年もの間、「鑑定士」として、烈火の仲間たちをサポートしてきた。
故に、今突きつけられた言葉の意味が理解できなかった。
俺は目の前に座り、豪快に酒を飲む男、リーダーのソルに理由を問う。
「何故だ!? 理由を教えてくれ!」
「はぁ? あんた、そんな事もわからないの?」
俺の問いに答えたのはソルではなく、その隣に座っていた一人の女魔法使い、アンナだった。
アンナは、俺を見下すような冷めた目つきで、俺が追放に至る理由を語った。
「戦闘中は何も出来ず、そのクセ周りをウロチョロと。うざいし邪魔。ハッキリ言ってお荷物なの」
「お荷物って……」
「もちろんそれだけじゃないよ。タクト君」
アンナのあんまりな発言に、反論しようとする俺の声を遮る、もう一つの声。
アンナとは反対の席に座っていた、弓士のユウミだ。
彼女は、テーブルに並べられた食事に手をつけながら、アンナと同じ冷めた視線を、俺に、そして俺の隣に座っている一人の少女へと向ける。
「戦闘面において役に立たないのは理解しているし、守るのが私たちの役目なのもわかる。けど、理由はそれだけじゃなくて、別にあるんだ」
「別……?」
「ずっと気になってたんだよね。隣に座ってる、その白髪の子。誰? というか、何?」
「なにって……」
ユウミの質問に、アンナとソルも前から気になっていたのか、視線を俺の隣に座る少女へと向けている。
いや、誰って言われてもな……。以前に話した通りで、説明も何も無いんだけどな。
「何って。この子は俺のスキルだよ。言ったろ? この前進化して、鑑定スキルから『AI鑑定』になったって」
「「「……」」」
俺がそう答えた瞬間、三人は大きくため息をついた。
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