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夫妻の世話をするために導入されたロボットでしたが、初めはロボットの方が大いにお世話をされていました。家の間取りや道具の配置などを把握せねばならず、分からない事や問題が発生する度に、仕事中の夫妻に通知が行くのでした。夫はそれを煩わしく思い、通知を切るようになりました。だから、妻が業務の最中に隙を見て、ロボットのSOSに連携アプリケーションで応えていたのでした。また、ロボット自身のメンテナンスなど、人の手が必要な作業も、徐々に妻が行うようになっていきました。
買い足した物や環境の変化など、ロボットには常にアップデートが必要です。手動アップデートと自動アップデートを繰り返すことで、ロボットは一人前の家事代行者になっていきました。軈て、夫婦の生活リズムや人間性も把握するようになっていったのです。
家の全ての電化製品は、まるでサイキックの様に、AIロボットが遠隔で動かすことができます。買い出しであれば、ネット注文をしておくことで、玄関で受け取るだけで済みます。逆に言うと、電化製品を伴わない作業は、全てAIロボット自身が行わなければなりません。
夫よりも少しだけ家に居る時間が長い妻は、手が空いている時、甲斐甲斐しく家事を行ってくれるロボットの手伝いをするのでした。
「ありがとう。いつも助かってるわ」
「それが私の仕事ですから」
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