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「そう……嬉しくないんだ。ただの私のお節介で、押しつけだったんだ」
妻は悲しく落胆しました。
「私なんて、要らないんだ……」
「そこまで言ってないだろ」
「言われなくたってわかります!」
妻の大声に、ロボットはその様子を窺いました。
「仕事のことばっかりで、あなたは子供をどうするとか一切頓着がない。私と話そうともしない。私達が家庭を持つ理由は? 一緒にいる理由はどこに在るの?」
「仕事の目途が立たないから仕方ないだろ」
「そういうことすらも言ってくれないじゃん。私がいなくても何も困らないじゃない」
この時、ロボットは何を思って二人を見つめたのでしょうか。
「頼んでないですって? あなた、自分が頼んだ事すらもおざなりじゃない。ロボットの通知は返さないし、アップデートもメンテナンスもしない。全部私がやってる。機械だからって丸投げしていいと思ってんの? ありがとうの一つでも言ったことあるわけ?」
「俺を言い負かすためにそいつを手懐けたのか?」
「……そこまで人でなしだとは思わなかった。よくもそんなことが言えるね」
「人でなしだと? お前こそ、俺無しで生きていけるだろ。そいつと仲良くやってりゃいいじゃねえか」
「は、なに? 私に相手されなくて嫉妬してんの? 時間を割きもしないあんたに言われたくないね」
「俺が疲れて帰ってきてもそいつにばかり興味津々でこそこそして。俺の労働はお前にとってそんなに無意味なものなのか?」
日付が変わる直前。
「旦那様、お伝えしたいことがございます」
ロボットは耐えかねて喋りました。
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