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「お前は隠し事が下手だな」
夫は少しだけ笑っていました。
「私のことをどう思っていようが、結局なにも言ってくれないわよね。仕事を理由にして」
「旦那様を支持するわけではありませんが、男性というものは女性よりもマルチタスクが苦手な傾向があります。古来より、女性が主に家事と育児を担ってきたのは、そのためとも」
「だからなに?」
「旦那様には、お仕事中にも家庭の事を考えろ、と言うより、家庭に割ける時間を増やしてもらう努力をしていただく必要がございます。今の旦那様がご家庭の事を考えるには、仕事が占める時間の割合が大き過ぎます。先ずは、労働時間の調整に努めてください」
「分かったよ。担当を見直してみる」
夫はロボットの言葉を受け入れました。まだ心の内がもやもやしている妻は、ロボットに尋ねました。
「あなたはこんな男の言いなりで家事をしていていいの? 奴隷の扱いと一緒よ?」
「旦那様からは、通勤中のやり取りで毎日「ありがとう」という言葉を頂いています」
「そんなの定型文でしょ」
妻は誹る様に言いました。
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