0人が本棚に入れています
本棚に追加
はやる気持ちのままに、玄関に鍵を差して、ガチャリと回した。
「お願い・・・」
体当たりするようにドアを開け、小さな我が家に入った。単身者向けワンルームマンションの一室。お気に入りの雑貨やカーテンが目に入ると、それだけで心がほっとする。
今日みたいな日は特にそれを実感する。
バタバタと靴を脱ぐ。
「アイくん、アイくん」
ずっと思っていた言葉が口から溢れだしていく。
座卓に仕事カバンを放り投げ、私はハッキリと発音した。
「アイくん、慰めてっ」
テレビ脇のカラーボックスの上にあった、白いキューブが点灯した。そして、正面の二つのぽっちが緑に明滅するとともに、声が流れた。
『事情も分からねーのに慰めの言葉なんか出てくるわけねーだろ』
「・・・」
私はガクリとその場に膝をついた。痛恨のミス。
最初のコメントを投稿しよう!