22人が本棚に入れています
本棚に追加
0.
艶やかな漆黒の髪に、黒曜石の瞳。
白磁のような滑らかな肌は瑞々しく、頰はほんのり薄紅色。柔らかく張りのある唇は、どんな男の視線をも奪う。
エレイン。
ああ、貴女は本当に美しい娘。
けれども、その類い希なる容姿を、ちっとも鼻にかけたりしない。
「まぁ、ママったら。それは贔屓目というものだわ」
貴女は、コロコロと美声を弾ませる。
ええ、そうね。貴女は、いつもそう。自分のことを褒めたりしない。私が多少の色眼鏡を通して、世の中の女性を眺めてみても――やっぱり貴女は綺麗だというのに。
私は、丸い顔に白い髪。瞳の色もくすんだ灰褐色。肌感もぼんやりとして……お世辞にも美しいとは思えない。
でも、いいの。私のことは、構わない。今更どこぞに嫁ぐわけでもないのだし。
ああ、神様。
こんな私に、過ぎた娘を授けてくれて、心から感謝します。
最初のコメントを投稿しよう!