気づいたら後の祭り

1/1
前へ
/1ページ
次へ
俺は小槌サトシ。 ○○県の赤川中学校2年3組の在校生だ。 俺は今、来たる受験戦争に向けて追い込み中だ。 学校はもちろん、家にいても大量の勉強道具に囲まれる勉強漬けは当たり前で、成績がちょっとでも下がったら両親にひどく睨まれる。 そういう日々に疲れていた俺は最低な行いに手を染めてしまった。 俺が手に染めた犯罪はクラス全員による弱いものイジメというやつで、ターゲットは成績がパッとしなくて陰キャなオーラを纏ったクラスメイトをクラス全員でサンドバッグにするのさ。 表立った暴力を振るおうものなら、いくら脅しつけてもこちらの犯行がバレる。だから、皆、直ぐにバレないように、じわじわと言葉のナイフでターゲットを甚振っていたのさ。 もちろん、気弱でクラス全員を敵に回しても抵抗してこないのをいい事に、クラス全員の玩具という形でターゲットになったヤツに俺も散々暴言を吐きまくっていた。 だが、そいつは数の暴力によるイジメを受けつつも、傷ついたような表情を一切浮かべなかった。 それどころか、表情筋が凍り付いたような、目の色も含めて顔全体が無表情のそれだった。しかもイジメを受けたヤツら全員が、だ。 そんな奴に皆は更に気持ち悪がってソイツを排除するかのようにイジメをますますエスカレートさせていった。 だが、そんなある日、そいつは期末テストで満点を取った。 しかも、全科目満点。 俺も含めてクラス中から上がる声は不満一択だった。 そいつの学力は中から下の何とも言えないレベルだったのに、いきなり学年主席になったのだ。 俺はソイツの秘密を知ろうと思いたち、ソイツの後を付けて回った。 そこに学年主席になる秘密があると思ったから。 しかし、ソイツが主席になったのは良い家庭教師などが付いたからじゃなかった。 ソイツらの脳みそがAIに成り代わってたんだ。 「ああ、君も頭が良くなりたいんですね?」 「ち、ちが……!」 「安心していいですよ、サトシ君の脳みそがAIに差し変わる手術は一切痛くありませんから」 「や、やめて……!」 ああ、こんなことならイジメなんてするんじゃなかった。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加