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「望愛…おばさんには口止めされてたけど、望愛がこっちに来たこと…当時はおばさんメチャクチャ気にしてたし、心配してたし…寂しがってた」
「それは…」私はベッドから出てリビングに繋がるドアを開けた。
雅也君がドアを開けてすぐのところで床に座り込んでいた。
「そのことは私なりにわかってるつもりだよ。さっきも雅也君に言われて考えてた。お母さん、私の前では反対しなかったけど、私のために無理にでも笑って送り出してくれたのかもしれないって…。でも、そもそも会えない距離じゃないし、お母さんとは頻繁に連絡もしてるし会いに行くようにもしてる。その…今付き合ってる人も…一緒に行ってくれてるの。お母さんとも会ってて、すごくいい人だって言ってくれてる」
私も雅也君の前に座った。
「その望愛の彼氏って…どういう奴なの?」
雅也君が言った。
「…遠野渉さん。私が働いてる会社の…社長…なの」
雅也君の顔が一瞬強張り、その緊張を解きながら彼は小さく何度か頷いた。
「…それか」
「"それか"って? どういうこと?」
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