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「いただきます」 雅也君はまず味噌汁に口を着け、テレビの食レポ並みに大袈裟にその味をかみしめていた。 「旨い…」 あり合わせの材料で作った手前、なんだか逆に申し訳ない。 「望愛の味噌汁、久しぶりだな。生き返った感じするよ」 さらに大袈裟なことを言う雅也君にもはや罪悪感が生まれる。 「大袈裟だよ」と苦笑いをしながら私も味噌汁に口を着けた。 するとどうだろう。 「…美味し」 自分でもビックリするくらい簡単に言葉が漏れた。 それを聞き逃さず雅也君が「だろ?」と顔を前に出す。 「この味噌、おばさんの手作りのアレだろ? 懐かしいなぁ」と言いながら雅也君は再び味噌汁をすすった。 雅也君の言うとおり、味噌は母の手作りのものを送ってもらっていた。市販のものも使用するときもあるが、やっぱり母の味噌が一番美味しいと思ってしまう。 このところ、渉さんの家で食事することが多くてこの味噌汁を作ったのも久しぶりだ。渉さんの家では佐和子さんが美味しい味噌を取り寄せているが、やっぱり私はこれを一番美味しく感じるらしい。
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