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「おばさん、味噌づくりいつも気合入ってるもんな。手間かかるのによくやるよ」
「うん…そうだね…」
雅也君の明るい声に、私の返事は鈍った。
私がこちらに来てからも、私が母の味噌がいいとせがむので母は自家製味噌を切らさないように今まで以上に頑張っていてくれたはずなのだ。
だけど、私…
最近しばらくの間…お母さんに味噌…頼んでいなかった―――。
「…どうした?」
私の箸が止まったので雅也君が私の顔を覗いた。
「…ううん、なんでもない。味噌汁…おかわりもあるからたくさん食べて」
私が言うと雅也君は喜んでくれたが、私思うように箸が進まなかった。
母のことを気に掛けていると言いながら…
私…自分の楽しいことばかり…優先してたのかもしれない……
そう思うと余計に箸は進まなかったが、雅也君の視線を感じたので私は慌てて笑顔をつくり、彼になけなしのおかずを勧めて明るく振舞った。
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