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渉さんは10時半頃になってやって来た。 雅也君は…まだ寝ていた。 渉さんから到着予定を聞いた時にはそれに合わせて雅也君を起こそうと思ったのだけれど、まだ寝ていることを伝えると、渉さんが起こさなくていいというので起こさずにいると、渉さんが到着した時点でもまだ雅也君は起きてきていなかった。 到着した時の渉さんは少し表情が硬かった。私の"兄代わり"の人に挨拶…に来てくれているので少し緊張…してくれているのかもしれない。 渉さんはその顔のまま遠慮がちに姿のない雅也君を探しているようだった。 「私の部屋で寝てるんです」と私が部屋のドアを見つめると、 渉さんからは「…一緒の部屋で寝たのか?」と返ってきた。 「ち、違いますよ。夕べは雅也君はリビングで。朝になって朝ごはんの後にもうひと眠りしたいからって、ここじゃ私がバタバタ動くので落ち着かないと思って」 「…そうか…」と安堵の表情を見せるところが何だか可愛い。 そして、雅也君がまだ部屋に居ることを確認し、少しいつもの調子を取り戻したのか渉さんは表情を和らげて私を引き寄せる。 「そーいや、挨拶がまだだったな」 「え?」 「…おはよう、望愛…」 渉さんの唇が近付いてきたとき、私の部屋の方から物音がした。
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