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――Side渉 彼がバスルームに入ってから、彼はほどなくして望愛を呼んだ。 「望愛、俺の荷物から適当に着替え持って来て。パンツも忘れんなよ」 「…え? あ、うん、わかった」 彼に言われて望愛が彼の荷物の中から彼の目当てのものを探してバスルームに持っていく。 バスルームではここまでは聞こえないが二人が何かを話しているのはわかった。 最後に望愛の小さな悲鳴が聞こえると、望愛がバスルームから飛び出してきた。 「どうした!?」 「あ…いえ…なんでもないんですけど…。私がいるのに雅也君が急にドアを開けるから…」 望愛にとっては俺以外の男の身体…。 「せっかく来てくれたのに…お待たせしてすみません。もうすぐ…出てくると思いますから。コーヒーお代わり淹れますね」 望愛は赤面する顔を隠すようにキッチンに入った。 俺はテーブルの上のコーヒーカップに視線を落とし、腕組みをした。 望愛にとっての"兄"のような存在だと聞いて、ちゃんと挨拶しなければと思ったが… 違う意味で…手強い相手かもしれない… それでも…逃げるわけにはいかない。 密かに呼吸を整えようと息を吸い込むと、バスルームから彼が再び現れた。
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