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俺が立ち上がると「お待たせ」と俺に言いながら、すぐに望愛に顔を向ける。 「水もらうぞ」と言って冷蔵庫に手を掛ける彼はまだ上半身裸のまま。 それに気付いた望愛が注意したが、望愛は別のことにも気が付いた。 「雅也君、髪の毛濡れたままじゃない。水が垂れてる」 望愛は彼に駆け寄って首にかけていたタオルで水滴を拭った。 「早く出ないとマズいと思って」 どういう意味なのか、ペットボトルの水を飲みながら言った。 「そんなに急かしてないよ…。とにかく髪の毛ちゃんと拭いて。風邪引いちゃうし、早く服も着て」 望愛は叱るように言うと顔を背けながら彼にタオルを差し出した。 「なんで目を逸らすんだよ? 昔は一緒に風呂に入ってしがみついてきたの身体だろ? それを今更意識してるとか、可愛すぎだろ」 彼はそう言って望愛の頬を優しくつまんだ。
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