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「望愛、悪いけど近くのコンビニで野菜ジュース買ってきてくれないか? 毎朝飲んでたからそれを飲まないとなんか気持ち悪くてさ」
彼の言葉に望愛は戸惑って俺を見る。
「私が買ってきます」と言いかけるとそれを遮るように彼は望愛に言い聞かせた。
「彼と…ゆっくり話したいんだよ」
「でも…」と望愛が再び俺を見る。
「心配するなよ。先にちょっと"挨拶"をするだけだ。取って食ったりしねえよ」
「望愛、大丈夫だから行ってこい」
俺が口を開くと安堵までとはいかないが、望愛は諦めて出掛ける準備をし始めた。
「雅也君、渉さんに失礼なことしないでよ?」
望愛は彼に念を押すと、俺には「すみません、渉さん。すぐ帰ってきますから」と言ってアパートを出た。
望愛が出て行くと部屋は急に静かになった。
そればかりか空気が急に重く感じる。
望愛には大丈夫だと言ったが、実のところそうでもなかった。
目の前の彼は明らかに好意的…とは逆の感情しか感じ取れなかったからだ。
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