MONSTERの甘い牙【番外編】【第2話】

２

「将来、結婚しようと約束しましたか？　ちゃんとした婚約を？」

「そんなことをしなくてもお互いわかっていることです。望愛はうちの家族とももう本当の家族同然ですし、私も望愛のお母さんにはよくしてもらっています」

「それは全く、俺と同じ。俺の家族も望愛を娘のように思ってるし、おばさんも俺を息子のように思ってくれてる。ずっと…あなたが知らない長い間、そうだったんですよ。あ、もちろん今も。だからおばさんは俺だけに本音を言ってくれた」

「望愛の…お母さんが？」

「あなたのそばにいる娘を、おばさんは遠くに行ってしまったと嘆いている。どういう意味でしょうね？　親父さんが亡くなってから手塩にかけて育ててきた一人娘ですよ？　あなたにも想像はできるでしょう？」

…望愛の…母親がそんなことを……

「望愛にとってはおばさんは唯一の家族だ。望愛だっておばさんに心から祝福してもらって幸せになりたいだろうし、一緒にいたいだろう？　それがあなたには…遠野さんにできますか？」

「あなたには…何かあった時、家族よりも優先して守らなきゃいけない大きなものがあるでしょう？　今日行ってみて、あんなに大きな会社だとは思わなくてビックリしましたよ」

彼は俺が口を開くたびにそれを許さないとばかりに次から次に言葉を浴びせてきた。