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その後、私がリビングに戻ると、雅也君はソファでグラスを片手にくつろいでいた。
「さっきはビックリした…。私、鍵掛けてたはずなんだけど」
髪を拭きながら冷蔵庫の中のボトルの水を取り出し、口を着けた。
「あんな鍵、外から簡単に開けられるし。だいたい…なんで鍵なんか掛けてるんだよ?」
「なんでって…」
「ガキの頃は一緒に風呂に入った仲だろ?」
…雅也君の中では私はその頃と同じ感覚なのね…。
「子供の頃でしょ。今は違うんだからもう少し私のこと、大人扱いしてくれないかなぁ」
私がため息交じりに言うと、雅也君は
「大人扱いねえ…」と私をじろじろと見た。
「な、何その目。雅也君にとっては子供の頃と変わらないかもしれないけど、一応もういい大人なんだからね」
「まあ…たしかに"いい大人"だ」
雅也君は何かをぼそりと言った後、「望愛、ドライヤー持ってこっち来いよ」と私を呼んだ。
「久しぶりに髪の毛乾かしてやるよ」
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