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「望愛、ちょっと二人で話せないか?」
「渉さん…?」
望愛が俺の顔を覗き込む。
すると、望愛は彼を振り返った。
「雅也君、渉さんに何か余計なこと言ったでしょ!?」
怒って彼を睨む望愛の仕草はきっと兄に対する"妹"のものだろうが、受け取る相手はそうは思っていない。
「言うわけないだろ? 余計なことなんて。俺はただ普通の話をしただけだよ」
「望愛…」望愛の手を引いて、自分に引き寄せる。
とにかく今すぐに望愛と二人で話がしたい。
「ちょっと外に出るから雅也君は朝ごはん食べて待ってて。冷蔵庫に入ってるから」
「わかった。待ってるよ望愛」
望愛と二人で部屋を出て行こうとすると、タイミング悪く俺のスマホが鳴る。
しかも会社の生産管理部門の部長からだ。
疑わなくても"緊急"だ。
「悪い、出させてもらう」
俺は玄関の方へ向かいながら電話に出た。
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