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「…話が…飛躍しすぎだよ…」
だからといって…
どうして雅也君がこんな風に渉さんを否定するのか…
その気持ちは…わからなくもなかった。
雅也君の実家は雅也君の父親が木材を扱う会社を経営していた。
大きな会社ではないけれど、従業員も抱え、おじさんはいつも忙しそうに走り回っていた。
今はもう会社は閉鎖して、おじさんは趣味の延長と言って、家具製作をしてゆったりとした生活を送っているが、会社を運営していた頃のおじさんは…仕事に追われて…おばさんも手伝いをしていたし…ほとんど雅也君とは一緒にいられなかったんじゃないかと思う…。
当時は私や母には言ったりしなかったけど…
やっぱり…寂しかったんだね…
だからこんな風に…
雅也君を見つめると、彼は私が何かを言う前に顔を逸らし、
「ごめん、言い過ぎたな」と言ってキッチンへ戻った。
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