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「望愛の髪の毛は相変わらず柔らかいな」 ドライヤーの風を当てながら雅也君が私の髪に指を通す。 「そう? 昔とは髪質変わっちゃってるけど。なんか…懐かしいね」 ドライヤーの風を受けながら私は思い出し笑いをしてしまった。 「…そうだな。風呂上がりに俺がこうやって望愛の髪乾かしてると、望愛いつもこっくりこっくりし始めて仕舞いには寝てたもんな」 「ホントに。だって人にしてもらうのって気持ちいいんだもん」 だから、今でも美容院に行ってもついウトウトしてしまうことがある。 すると雅也君は一瞬髪に添えていた手を止め、再び手を動かし始め、指先がかすかに地肌に触れた。 「…今でも…気持ちいいか?」 雅也君はドライヤーの風量を下げた。
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