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身体が密着しているので距離を置こうとして雅也君の腕を掴むと、その腕は筋肉質で思いのほか太くて硬く、自分が知っている雅也君のものとは全く別のものに思えた。
その感触のせいで私は急に焦ったが、
「…今日はドライヤー中に寝てねえんだな」
雅也君の口から出た言葉が細い腕をしていた頃の雅也君と同じだったので一気に身体から力が抜けた。
「…危ないところだったけどね。おかげでいい感じに眠くなってきた。雅也君も長旅で疲れてるでしょ? 今日はこれくらいにしてもう眠って。私も寝るから」
そう言ったのは、横に寝ころぶ雅也君の目が本当に眠そうな目をしていたからだった。
疲れているのに人の髪の毛まで乾かしてくれて。雅也君は私といると、"お兄ちゃん気質"が発動してしまって、かえってゆっくり休めないのかもしれない。
私が立ち上がるために上半身を起こすと雅也君の腕が私の腕を掴んだ。
「…だったらこのままここで二人で寝ちまおうぜ」
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