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「…え?」
私の腕を掴む雅也君の手の平が熱い…。
それは…雅也君が酔っているからだ。
「ム…無理に決まってるでしょ? だいたい私、こんな硬い床でななんか眠れないし。酔っ払いは早く寝なさい」
私は空いている方の手で雅也君のおでこをペシっと軽く叩いた。
「イテーな、こら」
雅也君のもう片方の手が伸びてきて、私は横たわった雅也君の腕の中に引き込まれ完全に…後ろから抱きしめられてしまった。
身体が…密着する。
「ちょっと、雅也君、ふざけないで!」
彼の腕をほどこうとしたが、筋肉質な腕は少しも動かない。
「なんか、昔みたいだな」
そればかりか私の焦りや動揺とは裏腹に雅也君はそんなことを言って笑っている。
「昔は…望愛の方から俺の腕に飛び込んできたんだけどな…」
雅也君の囁き声が私の耳に吐息と共に注がれた。
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