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昔を懐かしんでいるんだろうか…。 お互いに一人っ子だった私たち。 当時、私が日中両親がいないことの寂しさを雅也君で埋めていたように、雅也君にもそんなところがあったんだろうか。 男の子で年上で、喧嘩にも強かった雅也君が寂しさを抱えているなんて、当時の私は思いもしなかっただろうけど…。 そんなことを思うと抵抗していた自分の手からは少し力が抜けた。 「…こんな大人になって、実際の姉弟だってお兄ちゃんの胸に飛び込んでなんかいかないでしょ? 普通」 「向こう(アメリカ)ではよく見かけたけどな」 「ここは日本」と少しきつく言い、再び雅也君の腕をほどこうとした。 私が身体の力を緩めた時から雅也君の力は逆に強くなった。 雅也君がしゃべると雅也君の唇が私の耳に当たる。 身体が…さっきよりも密着してる。 「雅也君、ねえ、もう布団で―――」 「昔は望愛、」雅也君は私の言葉を無視して言った。 「俺が身体くすぐってやるとケラケラ笑って喜んでたよな」 話している内容とは逆に身体には緊張が走った。 「今はどうかな…」 雅也君の手の平がゆっくりと脇腹に置かれた。 「雅也君、イヤ…!!」 彼の指先がほんの少し私の胸に触れた。 私の大きな声に彼も驚いたのか、彼の腕が緩んだすきに私は立ち上がった。 「わ、私…もう寝るね。雅也君も早く寝てね。じゃあ、おやすみ」 私は彼から逃げるように自分の部屋に入ってドアを閉めた。
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