1人が本棚に入れています
本棚に追加
「月だ!」
ボクの目からおちたなみだに、ボクのだいすきな月がいた。
「すきとかきらいとかじゃなく、月はずうっと。
おまえさんといっしょに、おまえさんのなかに、いたんだよ」
おじいさんねこは、そう言ってうしろをむく。
「ちゃんとよく見てみなさい。
そうすればあたらしく見えてくるものも、たまにあるのさ」
それからゆっくりあるきだし、とびあがって、しげみのうしろにきえていく音がした。
でも、ボクはそのときも。
ゆらゆらと、ボクのなみだのなかでゆれる、まぁるい月にみとれていた。
最初のコメントを投稿しよう!