新人JK配信者が配信を頑張るよ

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新人JK配信者が配信を頑張るよ

「お、アリスちゃん。久しぶり。元気かい」 「元気だよ~。おじちゃんも元気そう。商売どう?」 「ぼちぼちだね。今日はまだ残っているよ。豚の串焼き、食べていくかい?」 「食べる! 二本ちょうだい。あずみちゃんも串焼きでいいでしょう?」 「はい……」 「お、その姿は新人だね。おじさんもここにきたばかりの頃は苦労したよ。頑張りな」 「は、はい。ありがとうございます」  アリスは2本分のお金を払うと屋台の店主に手を振って歩き出した。  あずみに串を一本渡す。アリスは肉にかぶりついた。大きな串に刺さった大きな肉はジューシーで美味しかった。 「おいしいです……」 「でしょ、あそこの屋台は当たりだよ」 「豚の串焼きって、ここにも豚がいるんですね」 「うーん」  あずみの感想にアリスは口ごもった。 「豚っていうか、豚っぽい生き物というか、豚っぽいモンスターかな」 「えっ」  アリスの発言を聞いてあずみの顔はゆがんだ。ゲテモノを口にした時の表情だ。 「ここではね、似た生き物で作った似た料理をそれっぽい名前で呼んでいるの。豚っぽい生き物の肉の串焼きだから豚の串焼き。鳥に似た生き物を揚げてあれば唐揚げ。そういうことだから」 「で、でも……」 「いい? 食材については深く考えないの。食べられなくなるよ」  アリスが声を低くしてあずみに忠告した。  アリスの態度の真剣さに気をされたのだろう、あずみは「はい」と素直に頷いた。  あずみは串焼きをじーっと見つめている。食べようか食べまいか。そんな葛藤をしているのだろう。 「いらないならもらうけど」  アリスが手を差し出しながらいうと、アリスは首を大きく振った。そして、意を決したように串焼きに再びかぶりつく。 「美味しいでしょう?」 「……。美味しいです」 「で、あずみちゃんは何が知りたいの?」  歩きながらアリスがあずみに問いかける。今歩いているのは、ゲート前から街の中心に向かっていく大通りだ。といっても都市計画があるわけではないので道幅はまちまちだし、お店や屋台も乱立している。 「ぜ、全部。です」 「へぁ」  あずみの返答に思わず変な声が出たアリスだった。 「全部とは大きく出たわね」 「だって、なにもわからないんですもん」  ちょっとだけ拗ねたような声音のあずみだった。きっとあずみちゃんはアバターの外見どおり若い子なんだろうな。と思う。  お金さえあればアバターで外見はいくらでも変更できる。実年齢が外見通りとは限らないのがこの世界だ。 「つまり、なにも知らないってことでいい?」 「はい……」  あずみは恥ずかしそうに俯いた。
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