◇予期せぬ真実

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「もう言いなりになんかならない。私は丈流との子どもがほしいって言ってるんだよ? なのに、はっきりした理由も教えられず、最上の家に縛り付けられているだけ。丈流は、私のことなんか愛してない」 「そんなわけないだろ。愛しているよ、ツカサ」 「だったら、ちゃんと説明して。私を対等に扱わないのなら、私は丈流をもうこれ以上愛さない!」  息を荒げ、ツカサは丈流を見据えた。 「そっか……」  丈流は口元を押さえ、うつむく。  かすかに、うめき声のようなものが聞こえる。肩が小刻みに上下していた。  泣いているのだろうか。 「丈流?」  顔を覗き込もうとして、ツカサはハッとした。  どうやら、泣いているわけではないようだ。  丈流から、「くっくっくっ」と笑い声が漏れる。 「あはははっ! 最高だよ、ツカサ」  丈流は前髪をかきあげながら、顔をあげた。  その表情は恍惚としていて、恐怖さえ覚える。 「大切にしてきたのに、満足できなかった?」 「守るとか、大切にとか、私が望んだことじゃない。私は丈流と一緒に幸せになりたいだけだよ。二人の子どもがほしいの。大好きな人の子どもを産みたい」 「俺は、ツカサとの子どもはほしいけど、最上の子どもはいらないんだ」  優しい声色で、丈流は言った。  ツカサの目を覗き込むように、丈流が顔を傾ける。 「ツカサに余計な心配させまいとしたのが間違いだったのかな。今、子どもを作ったところで、最上の家に取り上げられるに決まってる。ツカサが思い描く幸せなんてない。生まれた子どもは、正しく最上の人間となるよう徹底的に教育され、最上の名と財を守るためにだけ生かされるんだ。他の道なんかない。そうして、俺みたいな歪んだ人間ができあがる」  丈流は自嘲気味な笑みを浮かべた。
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