◇予期せぬ真実

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「丈流は……歪んでなんか……」 「本当にそう言える? 俺は他人を支配したいだけだ。ツカサのこともこうやって」  ツカサの手首を掴み、丈流は強引に自分のほうへと引き寄せる。 「鳥籠に入れておきたいだけなんだよ」  深い色の瞳は、ツカサの心を捕らえようとしていた。 「や、やめて……」 「どうして? いつまでも俺のためにだけ鳴いていてよ」 「違う、こんなの」 「違わないよ。これが、俺の愛なんだから」 「私の気持ちはどうなるの?」 「俺はね、最上家をめちゃくちゃにしてやりたいんだ。最上家を手に入れて、全部壊す。そうすれば自由になれるだろう? それから二人で幸せになればいい。ツカサはいい子だから、待てるよね?」  丈流はツカサの黒髪をゆっくりと撫でた。震えてしまいそうなほど、丁寧に。  それでもツカサは、丈流の言葉の真の意味を探ろうとした。  いくらなんでも身勝手すぎる。  丈流はどうして最上家をそこまで憎んでいるのだろう。 「丈流のご両親はどうなるの? 伯父様はどうなるの? 壊すって、会社は? 働いている社員はどうなるの?」  丈流を非道な人間だとはどうしても思いたくない。  冗談だよ、と笑ってほしかった。  しかし、ツカサの期待はあっさりと裏切られる。 「さあ、どうなるんだろう。楽しみだな」  愉快そうに、丈流は言うのだった。  冷ややかな眼光に、本気だと知る。  咄嗟にツカサは、丈流の手を振りほどいた。 「私は、そんな丈流なら、待たない。待ちたくない!」  そして、毅然として告げるのだ。
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