37 最終話 クリスマスデート

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 そして23日、待ちに待ったクリスマスデートの日。  奏多の部活が終わったあと、15時に百貨店入り口で待ち合わせ。今日はお気に入りの白いふわふわニットとフレアスカート、ヒールの低いショートブーツで。  散々悩んで用意したクリスマスプレゼントはストライプのマフラー。大きくて温かいから自転車通学にもいいだろうと思って。  アクセサリーなんかも考えたけど、それはもっと好みが分かってからの方がいいかなと思ってやめた。クリスマスはまたくるし、誕生日だってあるしね!  そうそう、ちなみに奏多の誕生日は夏休み中に終わってしまってたので、お祝いできるのは来年だ。私も、4月なので以下同文。  これから二人のイベントが増えていくと思うと楽しみしかない。    改札を抜けて少し歩いたところにある百貨店の中が待ち合わせ場所なんだけど、奏多は改札で待っていた。 「奏多! 寒いから中に入っててって言ったのに」 「改札抜けてくる有紗を見るのが好きやから。……今日もめっちゃ可愛い」  照れてるのか寒いからなのかわからないけど、鼻の頭が赤い奏多。照れてるんだって思っておこう。 「あ、ありがと……良かったぁ」  今日の奏多はグレーのダウンにグレーブルーのパーカー。寒色でまとめてて素敵。チラリと見える白Tが効いててオシャレ。 「奏多も、今日もカッコいいよ」  奏多は私に手を差し出しながらクールに笑う。 「どうする、有紗? 百貨店の中に入る?」 「それより、二人で歩きたいな」  人の多い商店街を通らずに、緑の多いお堀に沿って歩く。寒いけれど繋いだ手が温かい。 「有紗、進路志望の紙、冬休み明けに提出やろ? 有紗は理系だっけ」  二年生になる時に、文系と理系でクラスが別れる。どちらを志望するかという紙を、親と相談して提出しなければならない。 「うん。私、歯医者になりたいから……奏多は?」  私の父は歯医者の二代目だ。家の近くの県道沿いに医院があり、そこには祖父母が住んでいる。一人娘だから継ぎなさい、なんて言われたことは一度もないけれど、私は小さい頃から歯医者になることを決意していた。 「俺も理系に行く。建築系の学部に行きたいと思っとるから」 「じゃあ、もしかしたらまた同じクラスになれるかもね」 「だとええな。でも違うクラスになったとしても、しょっちゅう会いに行くから」 「うん、私も……」
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