7 太陽と麦わら帽子

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 ジリジリと焼けつく太陽の下、ボート大会は応援合戦で幕を開けた。暑い中で大声を張り上げて、私はもうフラフラだ。  でも私たちは半袖短パンだからまだマシだろう。三年生は綺麗だけど暑そうな衣装を着て、歌いながら踊っているんだから。本当に凄いと思う。私たちも二年後にはこんなことができるんだろうか?  朝の応援が終わるといよいよボート競技が始まる。一年生から順に集まるように言われ、私は麦わらを預かってもらおうと真衣子と美佳を探した。けれどあいにく、二人とも近くにいなかった。 (あれ、どこ行ったんだろう? これ預かってもらえないとボートに乗れないのに)  キョロキョロ探していると山岸くんとぱちっと目が合った。 「和辻さん、誰か探しよん?」 「うん、真衣子たちにこれ預かってもらおうと思ってたんやけどね、おらんのよ」  その時もう一度選手集合の笛が鳴った。 「俺、持っといてやるよ。行ってきな」 「あ、ありがとう! お願いします」  ド派手な帽子を山岸くんに渡して集合場所に向かう。その途中で真衣子と美佳が人混みに隠れながら私に向けて親指を立てていた。 (ああ、そういうことね……! 二人、グッジョブ!)  山岸くんと話すきっかけをくれたのだ。感謝しながら私は急いでスタート地点に走った。
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