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午後の最初の競技はビーチフラッグだ。山岸くんを堂々と応援できる機会だもの、頑張らなくちゃ。
ビーチフラッグには七組から三人出場した。かき氷のおかげですっかり仲良くなっている私たちクラスは、全員で声を合わせて応援した。
「山岸、頑張れよー!」
うつ伏せで準備している山岸くん。ピストルの音で跳ね起き、振り向いてダッシュする。
「やった! 一番反応がいいよ!」
でも最後まで気は抜けない。旗を取った者が勝者なのだから。
ゴール前、後ろから飛び込んできた男子より一瞬速く山岸くんの手が砂浜に立ててある旗をもぎ取った。
「青雲!」
アナウンスが響いた。砂だらけの山岸くんは私たちに向かって旗を振り上げ、ニッと笑った。
その時、一瞬私と目が合った気がしたのはきっと、私の勘違いだろう。だって、私の瞳にはもうバイアスがかかってしまっているから。山岸くんに関しては自分の都合の良いように変換してしまう。
「やったー! 山岸くんカッコいいー!」
盛り上がるクラスメイト。出場した三人中二人が旗を取り、私たち七組は青雲の得点に貢献できたに違いない。そのまま、他の学年の応援も気合を入れて頑張る私たちだった。
そしていよいよ最終競技であるボート決勝が行われた。応援の声は最高潮に盛り上がる。一年生のボートは負けてしまったが、二、三年生の頑張りで青雲はボート競技一位を勝ち取った。総得点でも青雲がぶっちぎりの一位となり見事優勝だ。
「よっしゃあああ――!」
グループ長の叫びが響き渡る。もちろん、私たちも大はしゃぎだ。向こうで山岸くんがメガホンを叩いているのが見える。本当に楽しそうな笑顔だ。
山岸くんは目が大きいのに笑うと目がなくなるんだ。いつもはちょっと微笑む程度だけど、こういうイベントの時は大きく口を開けて大笑いをしている。そんな笑顔を見るのが好き。
(もうダメだ。いつの間にこんなに好きになったんだろう。今さらこの気持ち止められないよ)
泣きそうになりながらずっと見つめていると、ふと山岸くんと目が合った。
咄嗟に、両手で顔の横にピースを作り、ふざけた顔をして見せた。そしたら山岸くんも私と同じポーズを作って、変な顔をして返してきた。あのクールな山岸くんが。
(どうしよう、嬉しい)
決めた。いつかきっと告白しよう。
だって、私の気持ちを伝えたいんだもの。後悔なんかしたくないから。
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