26奏多 Side 4

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ーー凛々花のことを話し終わると、坂口はうーん、なるほど、と言った。 「なんかしら拗らせてるんだねぇ。プライドが高すぎて素直になれんってとこかな。ま、彼女には彼女なりの理由があるんかもしれんけど、相手にしないほうがいいよ、山岸」 「もちろん。ただ、あいつが有紗に」 「んん? 有紗? もう名前で呼ぶようになったんか〜!」 「ちょっと坂口、今そこ突っ込むとこか⁈」 「いやいや、これは突っ込んどかなきゃ。で、和辻さんに何?」 「や、あいつがさ。有紗に何かするんじゃないかって、それが心配で」 「うーん、それは心配しなくても大丈夫やない? まさか暴力振るうってことはないでしょ」 「そうだな。まあそこまではない……か。でも有紗にこの件はちゃんと話しておかないといかんな」 「そうやね。それがいいかも。何も知らない和辻さんにいきなり接触されたら困るよね」 「ああ。ありがとな、坂口。いろいろ聞いてくれて」  坂口はユラユラと身体を揺らして笑った。 「じゃあそろそろお暇しよーかなあ。明日も試合だし」 「そうやな。試合も近いし頑張らなきゃな」 「ダブルス、絶対県大会に行こうな」  いつも笑っている坂口が、その時だけは真剣な目をしていた。もちろん俺も同じ気持ちだ。  テニスも恋も友情も充実してる。今が人生で一番楽しい、と俺は思った。
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