31凛々花と須藤

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「……凛々花は、ずっと女王様やった。だから、今でもみんなが言うことを聞くと思ってる」 「でも私は本当は嫌で……あの子と離れたくて。隠れて必死で勉強した。それで、やっと憧れの高校に入れたんよ。凛々花の成績じゃ絶対に入れない学校。これで縁が切れる。そう思っとった」 「だけど、凛々花は私を逃がしてはくれんかった。山岸のことを口実にして毎日連絡してきて、山岸が高校でモテないように悪い噂を入学直後から流せって言われて」 「……なんで、断らんかったん? 離れたかったならチャンスやったやん」 「あの子には逆らえんのよ。昔から。それに、一緒になって悪いことした時もあったから、それを高校にバラすって……」 「だから、この間も奏多の嘘の噂をばら撒いたん? 凛々花さんに命令されて」  こくん、と頷く。 「でもそのせいで私はクラスでも微妙な立ち位置になってしもた。嘘つきやと思われて。せっかく頑張って入った学校やのに、凛々花のせいで毎日辛い……」 「だめだよ。本当に辛いのは噂を流された側やん。あなたが辛いなんていうのは違う」 「あ……ごめん……」 「だからさ。今が本当のラストチャンスやない? 凛々花さんとの縁は断ち切って、悪い噂を流したことを奏多や周りの人に謝ってさ。きっと、ちゃんと謝ることができる人にはみんな真摯に対応してくれるはずよ。うちの学校、素敵な人ばかりやもん」 「うん……うん……」  須藤さんも本当はわかってるんだろう。 「それにしても、凛々花さんていつから奏多のこと好きだったん」 「私もわからんのよ……小学校の時はチビチビってバカにしてたし、中学でもほぼ無関心やった。山岸の『顔直してこい』の一件があった後、急に『山岸ムカつく。私らも無視しよや』って言い出して、そしたら凛々花の取り巻きが調子に乗り始めて……。それやのに高校に入って急に、『山岸と付き合いたいから協力して』って。凄いびっくりした」
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