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長身警官は、一旦顔を離したものの、声のトーンを上げ、詰めるように一気に捲し立てる。
「あなたは、浮気したことを奥さんに責められ続けていて、いつしか殺意を持つようになった。その殺意に感づいた奥さんは、日々あなたのパソコンを確認して、あなたが良からぬことを何か企んでいないかをチェックしていた。すると、検索履歴に物騒なキーワードが並ぶようになった。主に、毒関連のキーワードがね。さらには、『推理小説 じわじわ効く毒』といった検索ワードも紛れ込ませて、さも小説を書くために調べものをしているかのように見せかけた。――これが、奥さんの見解です」
すべてが違う。
何もかもが間違っている。
なんでそんな話に……。
しかし、この警官がここまで詳しく知っているということは、彩未がそう伝えたということなのだろう。
……もしや彩未は、最初からこれを狙っていた?
俺に毒を使った復讐小説を書かせるように水を向けて、毒についてパソコンで調べさせた。
そうすればパソコンに履歴が残る。
これから警察は、俺のパソコンを押収していろいろと調べるだろう。
当然、先日調べた毒に関する様々なキーワードのことを把握するはずだ。スイセンについて詳しく調べたことも。
そうか、そういうことだったのか。
今日レバニラを作ってほしいと言ってきたのも、すべて計算だったのだ。
俺と林太郎が食べないことを知っていて、あらかじめニラとスイセンを入れ替えていたのだろう。
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