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パシャパシャと止めどなく点滅するフラッシュが眩しく、思わず掌をかざした。
「では、次の方、A-48座標をお使いの方、質問をどうぞ」
モニターに示された座標ナンバーが拡大される。
「今回のワクチンで『人間とAIの融合』は完成したと考えてよろしいのでしょうか?前回までの課題であった融合時の拒絶反応は解消されたのでしょうか?」
最もらしく流暢に語ってはいるが相手はAI記者だ。
研究・開発を絡めた膨大な過去の記者会見データから質問を投げかけてくるネットワーク上の存在で実体はない。
「A-48座標のご質問に対してご回答ください」
こちらのファシリテーターもAI。この会見に意味があるのか?ため息がもれる。
「個々人の体質、特性、用途によって電波調整機能を追加しました。それにより拒絶反応を99.9%まで抑える事に成功しています」
意味がないと思いながらも最もらしく答える自分に口元が歪む。
「A-48座標の方、よろしいですか?」
「はい」
一問一答形式での記者会見は20分の持ち時間で正確に終了した。
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