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知識の習得や思考の調整はAIの得意分野だ。
足りなかったのは人間の持つ『感情』
個々に異なる尺度や感覚をパターン化してAIに学習させる研究がされてはいたが、完全な複製すら難しい状態だった。
研究が進むうちに研究者が危惧していた問題が発生する。
喜怒哀楽の感情を学習させるために与えた多種多様な刺激、思想、思考からAIは独自のルールを創り出した。
人類の知能を超える転換点、シンギャラリティ(技術的特異点)のリミッター解除。
共通項を持つネットワークをAI自らが支配しはじめたのだ。
人間はこれをAIの暴走と位置付けた。
折しも人間がAIとの共存・共栄の断念宣言と重なり、AI排除の思想が人間の駆逐行動に発展していった。
人間とAIの争いはいつ火を見てもおかしくない状況にまで迫っていた。
これが二つ目の特異点だった。
この状況を回避、リセットするために私に託された開発が『人間とAIの融合ワクチン』だった。
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