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実証実験は初期段階で失業者と同等の3,000万人を公募した。
47都道府県に1拠点づつ、50万から250万のAI搭載人間が生活する。
それぞれの拠点を一つの集積地区と捉え、一組織体として機能させる。
地区ごとの特性と特徴を公開し、相互に活性化させていく。
かつて掲げた『人間とAIが共存・共栄する持続可能な社会の実現』をもう一度コンセプトとしたリスタートを切った。
成果は半年で表れた。
人間をAIがサポートする当初考えていた共存が生まれ始めた。
人体にAIが埋め込まれたことでデバイスは不要となり、省力化、省資源化に成功する。
人為的なミスや漏れのない効率化が実現し、生産性の向上も同時に図れた。
人間は過重労働から解放されつつも存在意義を失うことなく幸福感が上昇していった。
ストレスやプレッシャーを抱く事がなくなり、病気や事故が激減する。
人体機能はAIが個々人の状況でメンテナンスサイクルを決める。
各部位の損傷は自身の細胞培養で補え、老いの恐怖からも解放されていった。
様々な思考や思想が共存する世界は地球上から戦争をなくした。
心身共に安心と安全を確保した人間から徐々に子孫を残す概念が薄れていく。
生殖機能は退化し、新たな生命は膨大な情報を蓄えたコロニーから基本情報を抜き出したAIと人間のクローンを融合させて誕生させることが主流となっていった。
現存する人間で世界が固定される3つ目の特異点だった。
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