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「楽くん、きのうわたしに言ったよね。『有名とか……、外側の部分をちょっとしか見えないやつの応援とかどうでもいい』って。ちゃんと演奏を聞いてもらって正当な評価をしてほしいって。それなのに、ここでやめちゃったら正当な評価もしてもらえないよ」
「わかってるよ。だけど……」
「だけど、じゃない!」
わたしの大きな声に、楽くんだけじゃなく、ウサギ小屋で眠っていたウサギたちまでもビクッと反応する。
「誰がなんて言っても、わたしは楽くんの弾くピアノが好きだよ。わたしはまだ、楽くんのピアノを聞いていたい。これで終わりにしたくない。みんなが萎えるかもとか、そんなのどうでもいい。だから、楽くん自身とわたしのためにフリーステージで『ニュー・ワールド』を弾いてよ」
ウサギ小屋の前でしゃがみこんだままの楽くんの目を、まっすぐに見つめる。
わたしを不安そうに見上げる楽くんは、少し迷っているみたいだった。それがわかっていて、楽くんに向かって右手を差し出す。
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