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「どうか、お願いします!」
ドキドキしながら、頭をさげる。だけど、楽くんは差し出した手をすぐに握り返してはくれない。
ピューピューと吹く冷たい冬の風にさらされて、少しずつ手先が冷たくなってくる。
やっぱり、だめなのかな。楽くんの気持ちは、変わらない……?
あきらめて顔をあげようとした、そのとき。楽くんがわたしの右手を握って立ち上がった。
「ギリギリになって、逃げようとしてごめん……」
キュッと唇をかむ楽くんの目に、さっきまでの迷いはない。
「春岡ってすごいよな。おれのことフリーステージに誘ってきたときも強引だなって思ったけど、最後の最後まですっごい強引」
「え……?」
眉をしかめて首をかしげると、楽くんが、ふっと口角を引き上げた。
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